2020.10.30
東京都の省エネ診断が無料になる補助金を紹介
省エネ対策を考えている中小企業者等にとって、専門的な知識や技術、対策のための資金不足がネックになるケースがあります。そこで東京都は、省エネに関する知識・技術・資金の課題を緩和する「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」をスタートさせました。
同支援事業で注目したいポイントが次の2つです。
・省エネコンサルティングが無料になる
・省エネ設備改修工事で発生した経費の一部が助成される
本記事では、同支援事業について解説します。
こんな方におすすめです。
・企業の経営幹部の方
・施設担当で省エネ対策を任されている方
01.東京都の中小規模事業所の省エネ支援制度「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」とは?
「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」とは、東京都が中小規模事業所の省エネ対策を支援するために、令和元年度から実施している支援事業です。
令和2年度は事業内容が拡大され、省エネ設備改修工事を行なった中小企業者等に対して費用の一部が補助金として支援されます。
01.1地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業の目的
東京都内で発生している温室効果ガスは、排出量の約93%が二酸化炭素によるものです。その中でも、エネルギー起源CO2(エネルギー消費に伴う二酸化炭素)が多くを占めています。
では、エネルギー起源CO2の排出量の割合を部門別に見てみましょう。
■東京都における部門別の最終エネルギー消費構成比(2017年度)
・産業部門:8.2%
・業務部門:39.4%
・家庭部門:31.4%
・運輸部門:21.0%
参照元:東京都における最終エネルギー消費及び 温室効果ガス排出量総合調査
上記を確認すると、商業・サービス・事業所が該当する業務部門は39.4%と一番多く排出していることがわかります。工場などの産業部門は8.2%となり、2つを合わせると約半分に近い割合です。
業務・産業部門のうち、4割は大規模事業所からの排出、6割が中小規模事業所からの排出ということがわかっています。
東京都はこの現状を踏まえて、CO2排出削減には中小規模事業所の省エネ対策が必須と判断。「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」は、中小規模事業所を有する中小企業者等に対して省エネルギー行動を促す目的でスタートした支援事業なのです。
01.2地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業の概要
中小企業者等は東京都が指定する省エネ対策サポート事業者(エスコなど)から、省エネに必要な運用改善の提案や助言(省エネコンサルティング)などを受けます。その後、実際に運用改善に係る取組を行った場合、費用の一部が助成される仕組みです。(運用改善の実践支援)
・省エネコンサルティング
対象事業所 | 中小企業者等が所有・使用する、都内の中小規模事業所(原油換算エネルギーが1,500kl未満の事業所) |
助成対象経費 | 省エネコンサルティングに係る経費 ※下記条件有り ・ダウンサイジング化を含めた省エネ設備改修工事の提案がされること ・計測装置によるデータの収集・分析 ・省エネ設備改修工事契約を結ぶ、もしくは、エネルギー使用量を前年同月比で1.3%以上削減する |
助成額 | 助成対象経費の10/10(上限額は100万円) |
公募期間 | 令和2年7月6日(月)~令和3年1月15日(金) |
※省エネ対策サポート事業者への助成です。
・運用改善の実践支援
対象事業所 | 中小企業者等が所有・使用する、都内の中小規模事業所(原油換算エネルギーが1,500kl未満の事業所) |
助成対象経費 | 省エネコンサルティングに基づき実施する、運用改善に係る取組(省エネ設備改修工事)の経費の一部 |
助成額 | 助成対象経費の1/2(上限額は50万円) |
公募期間 | 令和2年7月6日(月)~令和3年1月15日(金) |
上記2区分について、もう少し深く掘り下げていきます。
02.専門家による省エネコンサルティングを無償で受けることができる
中小企業者等の経営幹部や施設担当者が省エネ対策を実行する場合、課題となってくるのが省エネに関する専門知識や技術、取り組む時間や資金です。
特に忙しい経営者層が、個人や個別で省エネ対策を取り組もうとしても、普段の業務に追われてしまい、積極的な取り組みに至らないことが多いです。
これらの問題を主に専門知識や技術面から解決してくれる専門家(省エネ対策サポート事業者)による「省エネコンサルティング」を無償で受けることができます。
省エネ対策サポート事業者側に発生する費用負担は、東京都が補助金として負担してくれます。
さらに、実際に1.3%以上の削減がなされないと補助金が発生しない為、実質省エネ対策サポート事業者に成功報酬で省エネコンサルティングを行ってもらえるようなイメージです。
02.1省エネコンサルティングで行われること
(1)現地調査:1ヶ月
現地調査では、図面・現場確認、データ計測の実施、エネルギーデータの取得が行われます。
(2)診断・分析:〜1ヶ月
診断・分析では、エネルギーデータを分析しどのくらいの省エネ効果が見込めるかが検討されます。
(3)結果報告:〜1ヶ月
結果報告では診断レポートを中小企業者等に提出し、省エネ設備改修工事の提案、必要投資額を提示します。
省エネコンサルティングを経たあと、省エネ設備改修工事がスタートします。
03.運用改善の実施に補助金が出る!
2つ目の区分である「運用改善の実践支援」は機能付加や補助的な省エネ設備改修工事の費用に対して、1/2、最大50万円の補助金が出ます。
中小企業者等が省エネコンサルティングを受けると、省エネ対策サポート事業者から運用改善に係る取組(工事を伴うもの)が提案されます。これらの取組を実施し、エネルギー使用量が前年同月比で1.6%以上削減されたことが確認されると、東京都から費用の一部を補助金として受け取ることが可能です。
■運用改善に係る取組の一例
・エネルギー計測制御装置の導入(BEMS等)
・人感センサー、CO2濃度センサー等の導入
・照明スイッチの細分化工事
・サーキュレーターやブラインド等の設置
・省エネに資する各種設備の補修等
上記は一例ですので、取組内容は中小企業者等により異なります。実際には、支援する省エネ対策サポート事業者が適切な省エネ設備改修工事を提案します。
03.1補助金を受けて省エネ対策を講じると経営改善に繋がる
省エネコンサルティングや運用改善の取り組みによって、省エネ対策を行うと、水道光熱費を削減でき経営改善に繋げられます。
省エネコンサルティングの内容にも含まれる、省エネ診断を実際に申し込んだ中小規模事業所のアンケートを見てみると、電気・ガス・水道に関して下記のような回答が得られました。
電気使用量⇒平均16.4%削減
ガス使用量⇒平均28.6%削減
水道使用量⇒平均17.0%削減
参照元:平成20~25年度に省エネルギー診断を受診した事業者にアンケート
アンケートに回答した80%の中小規模事業所が省エネ診断の効果を実感しています。経費削減ができると原資が増えるなどのメリットが得られ、今後の事業を発展させることが可能です。東京都内の中小企業者等なら、補助金を活用しながら省エネ対策と経費削減対策の両方が行えます。
04.省エネ対策サポート事業者ならエスコ
「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」の補助金を受けるためには、東京都が指定する省エネ対策サポート事業者の省エネコンサルティングが必須です。株式会社エスコも省エネ対策サポート事業者として東京都から新たに認定されました。
エスコは2005年の創業以降、省エネ・コスト削減・CO2削減において独自のノウハウと経験を蓄積。省エネ診断を基に最適な補助金の活用を提案し、省エネ対策から完了報告作成までワンストップで支援しています。
省エネやコスト削減の対策支援は現在まで2万社を超える実績があり、環境省から省エネ診断の専門機関に認定されています。また、官公庁や地方自治体の補助金・助成金を活用した支援は直近3年の間に約170件をサポートしてきました。
「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」においても、応募から完了届の提出まで最後まで支援いたします。同支援事業が気になる方は、一度エスコにご相談ください。