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2024.07.02
バイオマス発電は環境に優しい再生可能エネルギーの一種です。植物や動物の廃棄物を燃料として発電する仕組みを指します。二酸化炭素の排出が少なく地球温暖化の防止に貢献できる点がメリットとしてあげられるバイオマス発電は、持続可能な未来を考える上で非常に注目されている発電方法です。
「バイオ」=bio … 生物
「マス」 =mass… 量
の2語から作られている「バイオマス」発電と呼ばれています。
バイオマス発電とは、植物や動物由来の有機物をエネルギー源として利用する発電方法です。
この技術は、主に農業廃棄物、林業残材、食品廃棄物、動物排泄物などの生物資源を燃焼、発酵、または化学的処理でエネルギーに変換します。バイオマス発電の魅力は、再生可能エネルギー源を使用することで環境負荷を軽減できる点にあります。
これは化石燃料に頼る従来の発電方法と比較して、地球温暖化の進行を抑制する手段として注目されています。
バイオマス発電で、燃料として使用される生物資源は、大きく分けると2つに分けられます。
乾燥系 … 伐採後の木片や枝(林業残渣)、収穫後に残る茎や根(農業残渣)などの乾いた生物資源
湿潤系 … 食品加工業などから出る有機廃棄物(産業廃棄物)や、家畜の排泄物・下水の汚泥など水分を多く含む生物資源
その他に製紙工場から出るセルロース(古紙)、産業食用油、パーム油なども燃料として活用されています。
上記にあげたように、さまざまな有機物を燃料として利用していますが、バイオマス発電に利用されるエネルギーは、大きく木質燃料とバイオガスの2つに分かれます。
木質燃料は、主に「乾燥系」から得られる資源で、木質バイオマスを燃料として利用します。
例えば、間伐材や、建築廃材、製材工場の残材などです。農業の生産過程で発生するトウモロコシの茎や殻などの廃棄物も含まれます。
バイオガスは、主に「湿潤系」から得られる資源で、廃棄物系バイオマスを燃料として利用します。
例えば、生ゴミや、家畜の糞尿、汚水、汚泥などです。
下水処理場で発生する汚泥は、メタンガスを効率よく生産することができます。
バイオマス発電は、どのような仕組みで発電しているのでしょうか。
発電の方法によって、電力生成の効率やコストに影響を与えます。主要な方式である「直接燃焼方式」、「熱分解ガス化方式」、「生物化学的ガス化方式」について詳しく説明します。
直接燃焼方式は、廃材やごみなどのバイオマス資源を燃焼させて熱エネルギーを生成する発電方式です。特に木材は燃焼しやすいようにチップに加工して燃焼させます。この熱を利用して蒸気を作り、タービンをまわすことで電力を生み出す方式です。
燃料は主に乾燥系の生物資源や廃油などを利用します。
この方法は歴史が長く、技術的にも確立されており、多くの発電設備で採用されています。
利点としては、燃焼工程が非常に単純であり、既存の石炭火力発電所などのインフラを利用しやすい点が挙げられます。一方で、燃焼時に排出される二酸化炭素の管理が必要で、廃材やごみが持つ水分の含有量が高いと燃焼効率が低下するという欠点もあります。
バイオマス資源を高温で分解し、ガスを生成させる方法を熱分解ガス化方式といいます。
この方式ではまず、バイオマスを高温に加熱し、燃料をガス化させます。生成されたガスはタービンに送られ、燃焼され電力に変換されます。
乾燥系だけではなく、湿潤系の食品加工廃棄物なども燃料として利用できます。
この方式は小規模でも発電効率がよく、効率的なエネルギー変換が可能です。しかし、設備の建設や運用には高いコストと高度な技術管理が求められます。
また、ガスはガソリン(ディーゼル)やプラスチック、都市ガスなど多くの用途に加工できますが、熱分解する際にCO2が発生するため、CO2の管理もまた必要となります。
生物化学的ガス化方式は、微生物や酵素を利用して有機廃棄物や汚泥などのバイオマス資源を分解し、メタンを主成分とするバイオガスを生成する発電方式です。
このバイオガスは、設備を通じて燃焼され、電力を生成することができます。
この方式の利点は、廃棄物管理とエネルギー生成を同時におこなえる点です。具体的には、微生物を利用して廃棄物を効率的に処理し、同時に再生可能エネルギー源としてのバイオガスを得られます。
ただし、微生物の活動は環境条件に依存するため、その管理と最適化が重要になります。適切な環境が整わない場合、ガスの生成効率が低下することがあります。
再生可能エネルギーの一つとして環境に優しい選択肢であるバイオマス発電のメリットとして、主に3つ挙げられます。
まず、発電量の安定供給が見込めること、
次に、二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化防止に貢献すること、
最後に、廃棄物の有効活用が可能であることです。
それぞれについて、詳しく説明します。
バイオマス発電は、農業や林業、食品廃棄物などから得られるバイオマス資源を燃料として使用する発電方法です。つまり、自然環境に依存しないエネルギーを利用しているため、発電量の安定供給が見込めます。
この安定性は、他の再生可能エネルギー源とは異なります。例えば、太陽光発電は天候や日照時間に依存し、曇りや夜間には発電量が減少します。同様に、風力発電も風の強さや風向きに依存するため、常に一定の発電量を確保するのが難しい発電方法です。
一方、バイオマス発電は、計画的にバイオマス資源を確保することができれば、安定的に発電することが可能になります。
バイオマス発電は、燃料として植物を多く利用しています。
燃焼する際に二酸化炭素は発生しますが、原料となる植物は、大気中の二酸化炭素を吸収しています。
大気中から吸収した二酸化炭素が、大気に還っていったと考えられ、全体を俯瞰してみるとCO2排出量は増加していない、とみなすことができます。
CO2の排出量が実質ゼロ=ニュートラルとなる、カーボンニュートラルであると考えることができるため、バイオマス発電は地球温暖化問題の緩和に寄与できると注目されています。
バイオマス発電では、捨てられるはずの食品や、利用されなかった間伐材、農業で出てきた活用されない茎や殻など、多くの廃棄物を燃料として活用しています。
本来捨てられるはずだった農業廃棄物、食品廃棄物、森林残渣などの廃棄物がバイオマス発電の燃料として利用されることで、廃棄物の減少とエネルギーの生産が同時に実現します。
特に、都市ごみや農業残留物を再利用することで、廃棄物処理コストの削減にもつながるだけではなく、新たな収益源としても活用されています。たとえば利用されていなかった林地で、間伐材などを収集するなど、新たな雇用・森林整備の推進などが進められています。
バイオマス発電が、再生可能エネルギーとして注目を集めている一方、デメリットも存在します。
大きく2つの課題に分けられます。1つがコスト、もう1つが燃料確保です。さらに、発電効率は他の再生可能エネルギーと比較しても低いのが現状です。
こうした課題にどのように取り組み、解決を目指すのかが、バイオマス発電の普及に大きな影響を及ぼします。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「持続可能な木質バイオマス発電について」
なぜ、コストがかかるのかは、2つの側面に分類できます。
1 燃料費がコストの大半を占める
2 収集・運搬・管理にコストがかかる
それぞれについて説明します。
バイオマス発電は、他の再生可能エネルギーとは異なり、発電の際に燃料が必要となることが特徴です。
下記の図を見ると、木質バイオマス発電所の原価構成は燃料費が約7割を占めていることがわかります。
インパクトのある燃料費に対して、コスト低減の道筋を明確化できるかが課題の一つです。コストの面だけでなく燃焼させるための化石燃料使用量が大きい場合は、結局環境に負荷を与えてしまう可能性もあります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「持続可能な木質バイオマス発電について」
間伐材や生ゴミ・家畜の糞尿など、燃料となる原料は、小規模に分散していることがほとんどです。そのため、これらを集荷する必要があります。
燃料材の集荷距離は、燃料材の価格は低いため、集荷距離が短くなるのが一般的ですが、木質バイオマスの場合は、発電所出力の大小にかかわらず広範囲に集荷をおこなっています。
当然ながら、燃料材を運搬する距離が長くなるにつれ、コストが上がります。
この小規模分散型であることがバイオマス発電のデメリットといわれています。
バイオマス発電は畜産や農業からの廃棄物を燃料として利用しているため、その生産量は変動します。
例えば、木質バイオマス燃料をとりまく日本の林業の環境を説明します。
日本の林業は、取り扱いが容易で付加価値の高い針葉樹の育成・管理・利用をメインで展開されています。そのため、燃料用に用いられるのは、建材用途などで利用できなかった「副次的な利用」が中心です。燃料用途の木材の立ち位置が副次的な位置づけのため、供給の見通しが立ちにくい上、日本における林業自体が縮小傾向にあります。
そんな中でバイオマス発電で安定的に燃料を確保するために、海外から燃料を輸入しています。
前述の「コストがかかる」問題とも関連しますが、輸入価格は年々上昇傾向にあることも懸念視されています。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「今後の再生可能エネルギー政策について」 出典:林野庁「木材輸入の状況について」
林業だけではなく、農業などの一次産業が廃業・縮小してしまうと、日本国内での原料確保が難しくなってしまいます。一次産業を活性化させることは、バイオマス発電だけではなく日本全体にとっても考えなくてはいけない重要な問題です。
バイオマス発電のデメリットの3つ目は、その低い発電効率です。
一般的にバイオマス発電の効率は20%から30%程度とされています。
これに対して、火力発電の発電効率は約40%から60%、水力発電は約80から90%、太陽光発電も20%前後です。バイオマス発電は、燃料となる生物資源を燃焼させる際にエネルギー損失が生じるため、他の発電方法に比べて効率が低いのです。
バイオマス発電はコストがかかるため、最低でも、燃料調達にコストのかからない太陽光発電よりも効率的に発電できることが求められます。
現在、発電効率の向上を目指していますが、技術的にまだ解決していないのが現状です。
日本におけるバイオマス発電の現状と将来性について説明します。
日本政府は再生可能エネルギーの拡大を目指し、バイオマス発電の導入量目標を2030年までに全体のエネルギー供給量の5%に設定しています。
出典:資源エネルギー庁 「今後の再生可能エネルギー政策について」
達成に向けた取り組みとして、政府は補助金制度の拡大や規制緩和を行っており、地方自治体も木質バイオマスや食品廃棄物などの地域資源を活用したプロジェクトを推進しています。
出典:資源エネルギー庁 「今後の再生可能エネルギー政策について」
近年では、小規模分散してしまうバイオマス発電の課題に対して、逆に小型のバイオマス発電として資源を地産地消しようという動きが出てきています。
分散している燃料を、地域で収集し、その地域で発電していくということです。
地域資源である農林業廃棄物や都市廃棄物を利用することで輸送コストを削減し、地元の雇用も生まれます。このようなプロジェクトは地域コミュニティが主体となるため、地域内循環が生まれ、地元経済の活性化にもつながります。
これにより、地域ごとのエネルギー自給率向上も可能となります。新たな形のバイオマス発電へと期待が寄せられています。
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