2025.05.30

蛍光灯の2027年問題とは? 生産終了にともなう問題点を解説

 

企業のオフィスや施設で広く使われている蛍光灯が、近い将来、大きく変わることをご存知でしょうか。「2027年問題」として知られるこの変化は、単なる照明器具の切り替えにとどまらず、企業の設備管理やコスト、そして事業継続計画(BCP)にも影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、蛍光灯の2027年問題の概要から、その背景、予想される影響、そして企業が今から取り組むべき対策まで、「2027年問題とは何か」について詳しく解説します。

 

1. 蛍光灯の2027年問題とは

「蛍光灯の2027年問題」とは、「水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議」に基づき、蛍光灯の製造および輸出入が規制されることによって生じるさまざまな課題の総称です。この条約の第5回締約国会議において、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止することが合意されました。
これに加えて、電球形およびコンパクト形蛍光灯については、既に2026年末での製造・輸出入禁止が決定しており、全ての一般照明用蛍光灯の製造が終了することになります。

(※)直管蛍光ランプと環形蛍光ランプには一般タイプの「ハロリン酸塩系」蛍光ランプとプレミアムタイプの「三波長系」蛍光ランプとの二種類があり、互換性があります。後者の方が高効率でより明るい仕様です。「ハロリン酸塩系」が 2026年末、「三波長系」が2027年末に、製造・輸出入が廃止されます。

出典:経済産業省 

蛍光灯が製造終了することによって、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 交換用蛍光灯が入手困難に!
    製造が終了すれば、市場に出回る蛍光灯の数は減少します。在庫が枯渇すれば、必要な時に交換用の蛍光灯が手に入らなくなる可能性があります。
  • 価格の高騰
    すでに蛍光灯は値上げが進んでいますが、製造終了が近づくにつれて、品薄感からさらに価格が高騰することが予想されます。
  • 照明設備全体の維持管理コスト増加
    部分的な交換ができなくなると、照明器具そのものをLED対応のものに交換する必要が生じます。これには、計画的な設備投資が必要です。

2027年問題は、単に「蛍光灯が使えなくなる」というだけでなく、企業の運営コストやメンテナンス計画に直接影響する重要な経営課題となり得ます。
まだ、LEDへの交換がお済みでない場合は、できるだけ早くエスコにご相談ください。

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2. 蛍光灯の生産終了に至る背景

では、なぜ蛍光灯は生産終了へと向かっているのでしょうか。
蛍光灯が生産終了へと向かう背景には、主に2つ、挙げられます。

2.1.健康被害のリスク

1つ目の背景が、健康被害のリスクです。
蛍光灯には、水銀が使用されています。水銀は人体に有害な影響を及ぼす可能性のある物質であり、特に適切に処理されない場合に環境中に放出されることで健康被害のリスクを高めます。

「水銀に関する水俣条約」自体が、水銀による健康被害の発生を防ぐことを目的の一つとしている国際条約です。蛍光灯の製造・輸出入禁止は、この水銀の使用を段階的に削減し、将来的な健康被害のリスクを低減するための世界的な取り組みの一環として位置づけられます。

 

2.2.環境保護の観点

続いて2つ目に挙げられるのが環境保護の観点です。
水銀は環境中に放出されると、食物連鎖を通じて生物濃縮され、生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。河川や海洋に流出した水銀は、魚介類に取り込まれ、それを摂取する人間の健康にも間接的に影響を与えることが懸念されています。
「水銀に関する水俣条約」は、水銀のライフサイクル全体にわたる管理を強化し、水銀が環境に与える負荷を最小限に抑えることを目指しています。

蛍光灯の生産終了は、水銀を含む製品の流通量を減らすことで、水銀による環境汚染を抑制し、地球全体の環境保護に貢献するための重要なステップなのです。

これらの健康被害のリスクと環境保護の観点から、国際的に水銀使用製品の段階的な廃止が進められており、蛍光灯もその対象となったのです。企業としても、これらの背景を理解し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、環境負荷の低い照明への切り替えを検討することが求められています。

3.蛍光灯の品不足と価格上昇

 

蛍光灯の2027年末での製造・輸出入禁止合意は、市場における蛍光灯の供給状況にすでに影響を与え始めており、今後さらに大きな影響が出ることが予想されます。

現在、日本国内で蛍光灯を製造している主要メーカーは、パナソニック、東芝ライテック、ホタルクスのわずか3社のみです。これらのメーカーは、原材料価格の高騰、物流コストの増加、さらには海外での人件費上昇といった要因を理由に、既に蛍光灯製品の生産終了や繰り返しの値上げを実施しています。

今後は、さらに蛍光灯が値上がりし、品不足に陥るリスクが一段と高まっています。企業にとっては、蛍光灯の交換が必要になった際に、必要な製品が簡単に入手できなくなったり、仮に入手できても高額なコストがかかるようになったりする可能性があります。
つまり、オフィスや工場の照明環境を維持しようと思っていても、そのランニングコストが増加したり、急な交換に対応できなくなったりするということです。

さらに、注意が必要なのは、LED照明についても価格の上昇が見られるという点です。LED照明に使われる樹脂や鋼材などの材料価格が高騰している影響で、多くのメーカーが値上げを実施しています。例えば、パナソニック、三菱電機照明、東芝ライテック、岩崎電気などが、2022年に続く値上げとして、2023年4月に約10~20%の値上げを行いました(対象商品はベースライト、ダウンライト、非常灯、誘導灯、直管形・丸形蛍光灯代替品、施設照明、投光器など多岐にわたります)。

このように、蛍光灯・LED照明の双方で価格上昇の傾向があるため、LED照明の導入を「先送り」してしまうと、結果としてより高い費用を支払うことになるリスクが高いといえるでしょう。
コスト増加のリスクを避けるためにも、計画的かつ早めのLED化の検討が不可欠です。

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4.LED照明に切り替えることで得られるメリット

LED照明に切り替えることで得られるメリットはなんでしょうか。
蛍光灯からLED照明への切り替えは、単に「2027年問題への対応」というだけでなく、企業にとって多くのメリットをもたらします。

4.1. 電気代の削減効果

LED照明の最大のメリットの一つは、消費電力の低さです。同じ明るさを得るために、LED照明は蛍光灯よりも大幅に少ない電力で済みます。これにより、照明にかかる電気代を大きく削減することが可能です。特に、長時間点灯するオフィスや工場、店舗などの施設では、LED化による電気代の削減効果は非常に大きくなります。

照明は、空調設備についでエネルギーを消費する設備です。
既存照明機器からLED照明に変えることで、50~80%を超える削減も可能です。

LED導入のコスト削減例

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4.2. 長寿命による交換回数の減少

LED照明は蛍光灯に比べてはるかに長寿命です。
一般的に、蛍光灯の寿命が数千時間から1万数千時間程度であるのに対し、LED照明は4万時間から6万時間以上と、数倍の寿命を持ちます。このため、照明器具の交換頻度を大幅に減らすことができます

つまり、交換作業にかかる手間やコスト(人件費、高所作業費など)を削減できるほか、交換作業による業務の中断を減らすことにもつながるのです。

【LEDの寿命】LED照明は本当に10年持つ?故障の原因と交換時期のサイン

4.3. 環境保全への貢献

前述の通り、蛍光灯には水銀が使用されていますが、LED照明は水銀を含んでいません。これにより、廃棄時の水銀排出リスクがなくなり、環境負荷を低減できます。また、消費電力が少ないことから、発電に伴うCO2排出量の削減にも貢献します。企業の社会的責任(CSR)やESG経営の観点からも、LED照明の導入は環境保全への積極的な取り組みとしてアピールすることができます。

2030年、そして2050年に向けて世界は脱炭素の方向に舵を切っています。日本は、2030年までに2013年度比で46%減、さらに50%の高みに向けて挑戦することを目標としており、LED化はますます重要になってくるでしょう。

脱炭素社会とは何か?

5. LED照明化に活用できる補助金例

LED照明に切り替えるときに活用できる補助金・助成金をいくつかご紹介します。

5.1. 省エネルギー投資促進支援事業費補助金/環境共創イニシアチブ(SII)

LED照明を含む、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たした設備の導入を補助してくれます。複数年度(全体2年)にわたる投資計画の支援も可能です。

ただし、本事業で対象となるのは調光対応LED照明器具(その他要件もあり)を導入する場合に限りますのでご注意ください。
詳しくは、環境共創イニシアチブ(SII)のHPをご覧ください。

5.2. 中小企業経営強化税制/経済産業省 中小企業庁

中小企業経営を強化させるため、生産性を向上させる設備の取得や製作に対して、即時償却または取得価格の10%の税額控除が選択適用できる仕組みです。

生産性向上設備だけではなく、収益力強化設備や経営資源集約化設備などにも活用でき、それらを導入し、実施する経営力向上計画の認定を受けることが必要です。
詳しくは、中小企業庁のHPをご覧ください。

5.3. 宿泊施設サステナビリティ強化支援事業/国土交通省観光庁

活発化するインバウンド需要に向けて、宿泊施設が実施するサステナビリティ向上への取り組みを支援する事業です。
一次公募〆切は、2025年5月30日で、二次公募は、今後決定します。
詳しくは、国土交通省 観光庁のHPをご覧ください。

5.4. LED照明等節電促進助成金/東京都中小企業振興公社

東京都内の製造業限定の助成金です。
製造業を営む中小企業者等が、節電のために必要な設備を自社に設置するための経費の一部を助成します。節電診断を受けることが要件の一つになっており、早めに申込が必要です。

LED照明だけではなく、デマンド監視装置や進相コンデンサ、インバータにも使うことができます。

詳しくは、東京都中小企業振興公社のHPをご覧ください。

また、マンション共用部でもLED助成金が受けられます。
こちらの記事に今年度の情報を掲載しているので参考にしてください。

東京都マンション共用部LED助成金

その他の情報や、最新の情報は、ぜひ当社にお問い合わせください。

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6. 蛍光灯の2027年問題に備えて取り組むべきこと

6.1. LED照明への切り替え

蛍光灯の2027年問題は、待ったなしの状況です。製造終了が目前に迫り、既に値上げや品薄のリスクが高まっているため、早めのLED照明導入を計画し実行に移すことが最も推奨される対策です。
LED照明の導入を先送りすることで、必要な時期に蛍光灯を手に入れられない、価格があがる、ということ以外にも、駆け込み需要による工事の遅延なども懸念されています。2027年末が近づくにつれて、LED化工事の依頼が殺到し、希望する時期に工事ができない、あるいは工事費用が高騰するといった事態も考えられます。

LED工事の疑問を解決!

6.2. LED照明切り替えに失敗しないために

しかし、「対策が必要だから」と焦って導入を進めたり、パートナーとなる業者をあまり検討することなく決めたりするのは避けるべきです。LED照明の導入は、初期費用がかかる重要な設備投資です。失敗しないためには、以下の点を慎重に検討しましょう。

6.2.1. 実績のある中立の立場の業者を選ぶ

LED照明工事は、これまでの明るさや使用環境によってもっとも適したLED電球が異なります。よりお客様のニーズに沿った提案をするためには中立の立場の業者を選ぶ方がより満足することができるでしょう。


6.2.2. 補助金・アフターサービスなどワンストップサービスできる業者を選ぶ

LED照明工事は省エネ設備投資の補助金対象になりやすい工事です。そのため、最新の情報をもつ企業に相談することをおすすめします。
エスコなら、LED照明工事だけではなく、省エネ診断・補助金・設備更新工事など、一貫した独自サービスでお客様の省エネ化ニーズにお応えできます。

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7. まとめ オフィスや施設のLED化を検討するポイント

LED照明の導入を検討するにあたって、さまざまな疑問や不安が聞かれます。

たとえば、

  • 設置する場所(オフィス、倉庫、工場、店舗など)に適したLED照明の種類が分からない
  • LED化にかかる総費用はいくらくらいかかるのか、具体的な見積もりが知りたい
  • そもそも、どこから検討を始めればよいか分からない
  • LED化を進める上で、特に検討すべきポイントは何か?
  • 自社の現状や課題に合わせた最適な照明プランを提案してほしい
  • 予算が決まっている中で、最も費用対効果の高い導入プランを知りたい

といったご相談などです。

株式会社エスコは、これまで2万5千社以上のお客様の省エネ化のお悩みに寄り添ってまいりました。単に製品を販売するだけでなく、設置場所の状況調査から、必要な照度計算、最適な製品選定、複数メーカー製品の比較検討、補助金活用のサポート、そして工事計画からアフターサポートまで、トータルでご提案させていただきます。

まだ、LED照明工事がお済みでない場合、ぜひエスコにお問い合わせください。

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