2023.08.02

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?導入のメリット、導入時に必要な手続きや保守点検について徹底解説!

キュービクルとは?導入のメリット、導入時に必要な手続きや保守点検について徹底解説!

電力会社から一般の家庭に供給される電気の電圧はおよそ100V又は200Vです。しかし、デパートやスーパー、工場、病院など一度に大量の電力を使用する施設では、高圧受電といって6,600Vという高い電圧で供給されます。

しかし、6,600Vの高い電圧では直接電気機器に使用できないので電圧を下げる必要があります。この電圧を下げて使用できるようにする設備を高圧受変電設備と言います。

一般家庭と大規模施設の受電方式の違い

この記事では高圧受変電設備の中でも現在の主流であるキュービクルについて説明します。

1. キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは

キュービクル式高圧受電設備(キュービクルしきこうあつじゅでんせつび)は、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めたもの。単に「キュービクル」(Cubicle) とも呼ばれる。
6,600Vで受電した電気はキュービクル内で100Vまたは200Vに変圧され、施設に供給される。受電容量が50kVA以上4,000kVA以下の小中規模施設の変電設備としてよく利用される。
出典:Wikipedia キュービクル式高圧受変電設備

キュービクルは正式名称を「キュービクル式高圧受変電設備」といいます。キュービクルという言葉は立方体を意味するキューブから来ており、四角い箱といった意味です。「閉鎖型高圧受変電設備」と呼ばれることもあります。

実際にキュービクルは金属製の箱の中に電気を高圧で受電してから建物内で使用できるように変換するために必要な様々な機器が入っている構造をしています。

工場で制作したものをそのまま現地で組み立てるため施工性がよく、その後の管理もしやすいため、広く使われている受変電設備です。

 2.キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)の構成

受変電設備の役割は大きく3つあります。

1つ目は電力会社の配電網から電気を受け取る「受電」。2つ目は、電気が使用できるように電圧を下げる「変電」。3つ目は変電後の電気を配る「配電」です。

キュービクル_イメージ

出典:Technology Geeks

これらの役割のために、断路器・真空遮断器・開閉器など回路の開閉などをおこなう機器や変圧器が設置されています。

また、キュービクル内には上記の他、万が一の事故を防止する保護装置や電流や電圧を表示する計器類、力率を改善し電気を効率よく使えるようにするためのコンデンサなどの機器も設置されています。

 3.キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)導入のメリット

受変電設備にはキュービクルの他に「開放型受変電設備」と呼ばれるものがありますが、現在ではキュービクルが主流となっています。それはキュービクルには開放型にない各種メリットがあるためです。

3.1.設置時のメリット

開放型は現地で鋼管や鉄骨で骨組みを作り、そこに各種機器を設置していくものです。これに対し、キュービクルは工場で予め制作したものを現地で組み立てます。

このため、キュービクルの方が現地での作業が少なく工期の短縮ができます。また、開放型に比べコンパクトで省スペースです。

開放型は建物内に受変電設備専用の部屋が必要ですが、屋外型のキュービクルであれば建物の外や屋上にも設置することが可能で非常に便利です。

3.2.安全面でのメリット

高圧受変電設備の1次側(変圧器よりも電力会社側)は6,600Vの高圧であり、触るのはもちろん近づくだけでも放電により感電し、死亡事故となる可能性があります。

特に開放型では各種機器がむきだしの状態で設置されているため、作業時に誤って高圧の部分に接触又は近接し、感電事故となる可能性があり危険です。

キュービクルの場合は、すべての機器が金属の箱の中に収納されており、通常操作するブレーカーや計器類のメーターが表面に出ている構造のため、開放型に比べ事故のリスクが少なく安全性が高いと言えます。

3.3.更新時のメリット

電気設備には寿命があり、安全に使用するための更新推奨年数が定められています。このため定期的に取り替え(更新)をおこなう必要があり、受変電設備も例外ではありません。

受変電設備の更新では建物全体を停電させる必要があるなど、非常に大きな影響があります。そのため、更新の工事は短時間で完了させられる方が影響が少なく、経済的メリットがあります。

キュービクルであれば工場で予め制作したもので丸ごと交換することで、更新にかかる時間を短縮するといった方法も可能です。

4.キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)設置時におこなうこと

キュービクルを含む受変電設備を設置して使用するには、経済産業省に届出をおこない、適切な維持管理をおこなっていく必要があります。

 自家用電気工作物を設置する者は、電気事業法の規定により、以下のことが義務付けられています。
1.事業用電気工作物の維持/技術基準適合維持(法第39条)
2.保安規程の制定、届出及び遵守(法第42条)※小規模事業用電気工作物を除く。
3.主任技術者の選任及び届出(法第43条)※小規模事業用電気工作物を除く。
上記のうち、2. 及び 3. は電気事業法に基づき、国への手続き等が必要となります。 
出典:経済産業省 電気設備の申請・届出等の手引き

ここではキュービクルの設置時に必要な手続きについて説明します。

4.1.保安規程の届け出

電気事業法により、キュービクルを設置する場合は、使用開始前に保安規程を定めて経済産業大臣に届け出をする義務があります。

電気事業法
第四十二条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。

保安規程は、電気設備の維持管理の責任者である電気主任技術者を中心とした保安管理組織、保安業務の分掌、指揮命令系統といった社内保安体制や、日常的な安全管理や定期点検といった具体的保安業務について定めるものです。

4.2.電気主任技術者の選任

電気事業法により、キュービクルを設置する場合は電気主任技術者を専任する義務があります。

電気事業法
第四十三条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

電気主任技術者は電気設備の維持管理の責任者です。

電気主任技術者は国家資格である第一種、第二種、第三種電気主任技術者の資格を持っている必要なだけでなく、実際の維持管理やこの後説明する定期点検をおこなうために、きちんと経験を積んだ専門の技術者である必要があります。

このため、一部の大企業や特に大きな施設・工場などを除くと、電気主任技術者を保安協会などの電気設備の保守をおこなう企業に委託するのが一般的です。                        

また、保安協会などと保守契約を結ぶと保安規程の策定や届出といった手続きもおこなってくれるため、実質的に電気設備の保安業務そのものを委託することとなり、効率的なだけでなく、手続きの漏れにより知らない間にコンプライアンス違反を犯すといったトラブルの心配もなくなります。

電気主任技術者の自主団体である日本電気設備保安協会(JHK)は経験豊富な技術者が関東地域中心に100名以上登録しており、自社で電気主任技術者を有するエスコと連携し、キュービクルの新設時に必要な試験から、経済産業省への届出、その後の維持管理までを請け負っています。キュービクルの新設をお考えの方や現在の維持管理体制に不安をお持ちの方はぜひ一度エスコにご連絡下さい。

日本電気設備保安協会(JHK)のサービス

5.キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)の保安点検

電気事業法により、キュービクルは1ヶ月に1度の月次点検と、年に1度の年次点検の義務があります。月次点検は一定の条件を満たした場合、2ヶ月に1度とすることが可能です。

月次点検は外観での劣化の確認、異音異臭や異常な発熱の有無など、停電をしなくても可能な点検をおこなうもので、年次点検では全体を停電させ、高圧部分を含めた詳細な点検をおこないます。

保安点検を怠ると機器の重大な劣化や損傷に気づくことができず、長期の停電による事業の停止や電圧の異常による機器の故障などで大きな損失が出るだけでなく、近隣にも影響を及ぼす波及事故となり、多額の賠償請求を受けることにもなりかねません。

日本電気設備保安協会(JHK)等と連携し、全国で保安点検4,200件以上の導入実績を誇る、エコスのキュービクル保安点検・メンテナンスサービスなら、保安点検の実施に加え24時間監視システムがあり安心!さらにコストも最大40%削減!複数の事業所を管理する場合も「報告書おまとめサービス」でわかりやすいと好評です。
お客様に最適なプランをご提案いたしますので、ぜひ一度ご連絡をください。

エコスのキュービクル保安点検・メンテナンスサービス

6.まとめ

キュービクルは多くのメリットがあるため、非常に多くの施設や工場で使用されています。しかし、法令や安全に使用するためのルールを理解し適切に運用しないと、コンプライアンス違反になる恐れがあるばかりか、重大な事故を引き起こし大きな損害を発生させる可能性もあります。

そのため、キュービクルを設置・使用する場合には豊富な経験を持つ電気主任技術者の存在が欠かせません。

自社で専任の技術者がいない場合には、保安協会や保守点検サービスを提供する専門の企業などに相談し、適切な運用をするようにしましょう。

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