2026.04.24

キュービクルのPCB処分方法と含有確認手順について解説

 

もし、キュービクル(高圧受電設備)内に使用している機器にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれていたら、どう対処したらよいでしょうか。
そもそも、キュービクル内に使用している機器にPCBが含まれているかどうかを確認するにはどうしたらよいでしょう。

高濃度PCBは計画的処理完了期限が定められ、すでに高濃度PCBは処分期限が終了しました。
また、低濃度PCBは令和9年(2027年)3月までに廃棄することが義務付けられています。

参考:環境省 ポリ塩化ビフェニル早期処理情報サイト 4.ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の改定


環境省 ポリ塩化ビフェニル早期処理情報サイト より

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1.PCBはなぜ危険な化学物質といわれるのか

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、その安定性と化学的耐久性から、かつては広く産業用に使用されていた化学物質です。
しかし、現在ではPCBの製造・輸入ともに禁止されています。

1968年、食用油の製造過程において、脱臭工程の熱媒体として使用したPCBが誤って商品に混入。その結果、大規模な健康被害をもたらしたカネミ油症事件が発生し、PCBの毒性が社会問題視されました。

PCBは脂肪に溶けやすい性質をもち、人体に蓄積しやすく分解されにくい特徴を持ちます。
中毒症状として、目やにや爪・口腔粘液の色素沈着、ざ瘡様皮疹、爪の変形、まぶた・関節の腫れなどの報告があります。

日本では、1972年にPCBの製造を禁止、
国際的には、2001年「POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)」が採択され、世界中でPCB廃棄物の処理が進められています。

2.キュービクルにおけるPCB含有電気工作物

PCB含有電気工作物は、PCBの含有濃度に応じて

  • 高濃度PCB含有電気工作物(PCB濃度が5,000mg/kg以上)
  • 低濃度PCB含有電気工作物(PCB濃度が0.5mg/kg以上 5,000mg/kg以下)

に分けられます。



出典:環境省 低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイト

2.1.高濃度PCB含有電気工作物

高濃度PCB含有電気工作物とは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の含有量が0.5%(PCB濃度が5,000mg/kg以上)を超える機器を指します。
以下の12種類の電気工作物の場合は、該当の可能性があります。

経済産業省は、高濃度PCB含有電気工作物の定義を以下のように定めています。

高濃度PCB含有電気工作物とは、 告示で定められた12種類の電気工作物(変圧器、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブル。以下同じ。)のいずれかに該当するものであって、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.5%を超えるものをいう。
  (換算値:重量比0.5%=5,000mg/kg=5,000ppm)

2.2.低濃度PCB含有電気工作物

低濃度PCB含有電気工作物とは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の含有量が0.00005%から0.5%(PCB濃度が0.5mg/kg以上 5,000mg/kg以下)の機器を指します。 上記に挙げた12種類のいずれかに該当する電気工作物でも、PCBの含有が0.5%未満の場合は低濃度PCB含有電気工作物になります。 経済産業省は、低濃度PCB含有電気工作物の定義を以下のように定めています。

低濃度PCB含有電気工作物とは、 告示で定められた12種類の電気工作物のいずれかに該当するものであって、高濃度PCB含有電気工作物に該当するものを除き、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.00005%を超えるものをいう。
  (換算値:重量比0.00005%=0.5mg/kg=0.5ppm)

3.キュービクル内機器のPCBを確認する方法

 

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在では使用が禁止されていますが、古いキュービクル(高圧受電設備)の部品にはPCBが含まれている可能性があります。

PCBが含まれているキュービクルは処分が義務付けられているため、保有しているキュービクルがPCB含有かどうかを確認しましょう。

また、製造から40年経過した古い安定器は劣化し破裂して、PCBが漏れる事故も発生しています。1977年3月までに建築・改修された建物は古い安定器が使用されていないか確認しましょう。

3.1.PCB含有確認1 キュービクルに使用された電気機器の「製造年式」から確認する

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、1954年から1972年まで、生産・使用されていた物質です。
この期間に生産されたものはPCBが使用されている製品が多い可能性があります。

1972年以降に製造されたものもPCB混入の可能性はあります。特に、1990年製造までは分析して確認することをおすすめします。

日本電気工業会によると、1991年以降は出荷段階でPCB混入はないと判断されています(工業会に加盟するメーカーの電気機器)。しかし、一部メーカーからは1991年以降のキュービクルからもPCBが含有していた事例が報告されているため、実際に廃棄する際にPCB混入がないことを確認したほうがよいでしょう。

3.2.PCB含有確認2 専門業者にPCB成分分析を依頼して確認する

確実に含有を確認するため、専門業者に分析を依頼して確認しましょう。
株式会社エスコでもPCB含有のチェックをおこなっておりますので、お気軽にご連絡ください。



※使用中のものについては、PCB汚染の疑いありとして記録し、廃止後に分析を実施してください。
もしくは低濃度PCB廃棄物とみなして処分することも可能ですが、その場合も届出は必要です。


出典:環境省 低濃度PCB廃棄物の調査方法

3.3.PCB含有確認3 内部のトランスやコンデンサの銘板を照会する

製造年式や外箱の確認だけでなく、キュービクル内部に設置されているトランス(変圧器)やコンデンサ本体の銘板を確認することも重要です。
銘板に記載されているメーカー名、型式、製造年などの情報を控え、各メーカーの公式サイトなどを利用することで、PCB含有の有無を調べることができます。

ただし、通電中のキュービクル内部を確認する作業は感電の危険性が伴います。
自身で無理に確認しようとせず、必ず専門の電気主任技術者や調査業者に依頼して安全に確認を進めてください。

 

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3.4.PCBの成分分析や機器の処分にかかる費用の目安

専門業者にPCBの成分分析を依頼した場合、1台あたりの費用は5万円から15万円程度が一般的な相場とされています。
また、分析の結果PCBが含まれていた場合の処分費用は、収集運搬費や無害化処理の費用を含めて1台あたり30万円から100万円以上かかることがあります。

キュービクルの大きさや内部に含まれる絶縁油の量によって、必要な費用は大きく変動します。
そのため、実際に処分を検討する際は、事前に複数社から見積もりをとり、具体的な費用感やサービス内容をしっかりと確認しておくことが推奨されます。

4.処分していない高濃度PCB廃棄物があった場合は?

 

すでに、高濃度PCB含有廃棄物は全てのエリアで処分期限を終了しております。
もし処分が必要なキュービクルがありましたら、お早めに自治体・JESCOにご連絡をお願いいたします。

処分・管理をしているJESCOは、「特例処分期限日」を過ぎてもただちに操業終了するわけではありませんが、計画的処理完了期限後、数年後には順次操業を終了する予定です。
※大型機器の場合は計画的処理完了期限から3年間、小型機器類・汚物等は2年間

そのため、早めの確認・対応が必要です。

PCB特別処置法において、環境大臣や都道府県知事は、期限内に処分完了するよう改善命令を出すことができます。この命令に従わない場合は、3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科が処せられますので、ご注意ください。
※PCB特措法10条(期限内の処分)、12条(改善命令)、33条(罰則) より

5.低濃度PCB含有のキュービクル処分の手順とは?

では、低濃度PCBが含まれていると確認できたら、どのように処分をしたらよいのでしょうか。
低濃度PCB含有キュービクル処分の手順を解説します。

弊社でもお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にご連絡ください。

5.1.キュービクルのPCB含有確認

前述した通り、まずキュービクルにPCBが含まれているかを確認します。

5.2.都道府県知事への届出提出

続いて、都道府県知事に届け出を提出します。

5.3.PCB廃棄物を適正に保管する

PCB特別処置法に基づき、PCBを含むキュービクルを適切な場所に保管することが不可欠です。

具体的には、

・周囲に囲いが設けられていること
・見やすい場所に掲示板が設けられていること
・PCBが流出したり、地下に浸透したりしないように措置を講じること

などが挙げられます。

参考:環境省 PCB廃棄物の適正な保管、収集・運搬に関する制度等について「PCB廃棄物の保管に関する規定 」より

5.4.2027年(令和9年)3月末までに処分をおこなう

環境大臣による認定施設または都道府県知事による許可施設に委託し、処分をおこないます。

※事業者によって取り扱い可能な廃棄物が限られます。くわしくはお問い合わせください

また低濃度PCB含有廃棄物の場合も、高濃度PCB含有廃棄物と同様、環境大臣または都道府県知事は、事業者が期限内の処分をするよう改善命令を出すことができ、違反すると、3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科されます。

PCB含有のキュービクル処分ならエスコにお任せください

 

5.5.処分終了後に都道府県知事へ完了届出書を提出する

認定施設などでの無害化処理が無事に完了した後は、処分が終了したことを各都道府県知事に報告しなければなりません。
処理業者から発行されるマニフェストなどの書類をもとに、定められた期日までに完了届出書を提出することで、一連の手続きが完結します。

PCB廃棄物の処分は、機器を引き渡しただけでは終わらない点に注意が必要です。
期限内に確実に処理を終えるとともに、最後まで適切な報告を行うことで、法的な処分義務を完全に果たしたことになります。

 

6.産業廃棄物としての適正な処分方法と業者の選び方

キュービクルを廃棄する際は、産業廃棄物としての法的な取り扱いを正しく理解し、適切な処分方法を選択することが求められます。
不適切な業者に依頼してトラブルが起きた場合、排出者である所有者自身が責任を問われるリスクがあります。
ここでは、産廃として処分する際の注意点や、信頼できる業者の選び方について詳しく解説します。

 

6.1.専門の処分業者へ委託しマニフェストを交付する

キュービクルの廃棄物は産業廃棄物に該当するため、中身の絶縁油は廃油、外箱などは金属くずとして適切に分別して処理する必要があります。
PCBを含む場合は特別管理産業廃棄物となるため、通常の産廃とは異なる厳格な管理が求められます。

処理を委託する際には、必ず専用のマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、最終処分まで適正に行われたかを確認しなければなりません。
交付したマニフェストは5年間の保存義務があるため、紛失しないように厳重に管理してください。

6.2.許可証や実績を確認して信頼できる業者を選ぶ

処分を依頼する業者は、管轄の都道府県から特別管理産業廃棄物の収集運搬許可を正式に受けているか、処分先が環境省の認定施設であるかを必ず確認してください。
不適切な処理や不法投棄などのトラブルが起きた場合、排出者である所有者自身が厳しい法的責任を問われることになります。

許可証の有効期限が切れていないかのチェックはもちろん、過去の処理実績や、万が一の漏洩事故に対する安全体制が整っているかどうかも確認事項に含まれます。
これらの情報を事前に把握し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

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6.3.PCBが不検出だった場合はリサイクル業者の利用も可能

分析調査の結果、キュービクルからPCBが検出されなかった場合に限り、中古設備として専門のリサイクル業者に買い取ってもらうという選択肢もあります。

まだ使用できる状態のキュービクルであれば、買い取りに出すことで廃棄にかかるトータルコストを大幅に抑えることが可能です。

 

ただし、PCBが含まれているか不明な状態のままで売却したり、他者へ譲渡したりすることは法律で固く禁止されています。

リサイクルを検討する場合でも、必ず事前の成分分析で白黒をはっきりさせることが求められます。

PCBを含むキュービクル処分の期限はあと少し!

PCBを含むキュービクルの処分期限は、もうほとんど残されていません。

特に、1954年から1990年の間に製造された電気工作物を保有している場合は、できるだけ早めにPCB含有を確認しましょう。

祖業としてキュービクルの保安業務をおこななってきた弊社では、PCB含有の有無の分析はもちろん、キュービクルの更新工事や補助金の申請および、その後のキュービクル点検までワンストップでサポート可能です。
ご不明なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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