2023.04.21

初動期におけるマンション再生の進め方

 

はじめに

初動期におけるマンション再生の進め方ではこれまで紹介した再生手法を区分所有者自らが取組んで行くために、特に初動期の動き方に着目して紹介したい。

マンション再生
コンサルティングサービスはコチラ!!

01.マンション再生の準備

01.1 検討組織の立ち上げ

これまでの記事(マンション建替えの現状と施策マンション再生の手法について)においてマンション再生の手法や各手法のメリット・デメリットを紹介した。どのようなマンション再生を将来的に選択するにせよ、初動期は区分所有者を中心に検討を開始する必要がある。

検討を進める上では組織作り(本記事では検討委員会という)が重要となる。マンションにおいて建替えを視野に入れた検討が具体化するのは、二回目の大規模修繕が終わった築25年以降の場合が多い。その頃になると、建物や設備の老朽化に加え、区分所有者の高齢化や居住世代の多様化も同時に進行している状態である。検討委員会を組成する場合、これまでの日常管理の方法や歴史、中心人物の人材活用も重要だが、何より区分所有者全体の意向が反映され易い構成員で組成することが大切である。そのためには組成の段階から区分所有者にオープンな形で検討委員会のメンバーを募集する必要がある。

検討組織の活動開始までの流れ
出典:東京都HPより参照

当然ながら初期の段階では、コンサルタントなど外部の人間を入れた大規模な調査や検討を行うことは、予算の面や一般区分所有者の理解の面からも難しい。管理組合や検討委員会において単発的なセミナーや無料相談などを行いながら出来る範囲で調査を進める必要がある。後述するが、エスコではどのような再生方法を選択するか決まっていない初動期において知って頂きたい内容のセミナーを随時行っている。

01.2 検討委員会での調査

検討委員会が組成された後、マンションの実態把握と課題を抽出し、目標とする改善水準の設定をする必要がある。多くの検討委員会では建物設備の老朽化や耐震性の不安から急いで再生方法を決め進めてしまう傾向があるが、例えば建替えを行うとしても「何のために建替えを行うか」を一般の区分所有者に無理解のまま進めると後々大きな反発を受けることが多い。そのため、共感される改善水準を設定し、その改善水準を満たすマンション再生の手法を理解を得ながら選ぶことが重要である。

調査でまず行うことが、老朽化の進行具合の調査である。老朽化の調査に関しては前記事(マンション再生手法の決め方について)で紹介した「管理組合における簡易判定」を参考頂きたいが、区分所有者でも目視や住民アンケート等の簡易な方法により現マンションの安全性と居住性を客観的に調べることができる。

次に多い調査内容としてマンションの耐震性についての調査である。耐震診断の結果次第で、どのマンション再生方針を採用するべきなのか決定する際の重要な判断材料になる。また、マンション建替え円滑化法に基づく建替えの容積緩和や敷地売却制度が利用できるかにも関わる調査になる(詳細は後述)。

耐震診断は、①予備調査、②現地調査、③耐震診断と大きく3つのステップに分かれる。予備調査では、建物規模や形状、構造形式等の建物の概要を把握するための情報を収集する。特に設計図書の有無が診断レベルの設定には重要な指標となるため、管理組合で事前に確認することが必要である。予備調査を行えば、概算の耐震診断の見積りが作成できる(当然現地調査を行った方が精度は上がる)。

耐震診断の費用に関しては、自治体による支援制度が用意されている場合もあるため、検討委員会で情報収集を行うことが必要となる。補助金や助成金は申請の時期や有無の問題もあるため、コンサルタントなど専門家を活用することをお勧めする。

耐震診断のフロー

耐震診断のフロー
出典:一般社団法人日本耐震診断協会HPより参照

次に重要な調査内容として、基本的な権利関係の調査である。例えば土地については所有権以外でないのか(地上権や賃借権)、敷地権化されているか否か※、居住者と登記簿に記載されている名義人の整合性があるかなどを見る必要がある。特に老朽マンションでは相続により権利が分散している場合もあり、誰が意思決定権を持つのかの把握が重要である。どの再生方法を選択するにせよ、決議においては「区分所有者及び議決権の多数決」が必要となるため、区分所有者の権利の把握は必須になる。

※敷地権化とは、区分所有者(建物権利)と敷地利用権(土地権利)を一体にして登記するものであり、各々を分離して処分することができない。一般的なマンションでは敷地権化されているが、古いマンションの場合、されていない場合もある。マンション建替えを行う場合は建替え決議までに敷地権化することが望ましい。

01.3 合意形成の進め方と専門家の選定

調査を進めると同時に、将来の合意形成に向けた下地作りを行っていく必要がある。検討委員会の活動を報告会やニュースなどの書面で情報共有すること、日常的な相談対応や勉強会などを行うことも有効である。また、個別の意見を徴収するためにアンケートを適宜行うことも効果的である。

合意形成を促進するために、個別面談を適宜行うことも重要である。相談会や勉強会では発言が無い場合でも、個別に話を伺うことで個々の要望や希望を発掘することができる。ただし、マンション再生の手法は多種あり、制度も複雑なため、検討委員会だけで対応できない内容もある。その場合、適宜コンサルタントや事業協力者に参画をお願いすることが求められる。

コンサルタントの選定方法として、まず業務内容等を検討・設定し、候補者のリストアップを行う。その中から実績や提案を受け選定することになる。留意点として、各コンサルタントの専門分野(改修なのか建替えなどか等)が何かを検討委員会側で把握することである。再生手法が定まっていない段階で選定を行う場合は、なるべく幅広い手法で再生の実績があるコンサルタントを選ぶことをお勧めしたい。

合意形成の進め方と専門家の選定
出典:東京都HPより参照

02. 最新の制度改正について

前記事(マンション建替えの現状と施策)でも紹介したが、旧耐震基準のマンションは約103万戸あり、今後も老朽化したマンションは急増していく見込みとなっている。一方、建替えを始めとするマンション再生は遅々として進んでいないことが現状である。国としてもマンション再生に向けた取組み強化は喫緊の課題のため、より使い易い制度改正が進んでいる。

一例として、令和3年には老朽化が進み維持修繕が困難なマンション再生のため、除却の必要性に係る認定対象を拡充し、マンション敷地売却制度や容積率の緩和特例の適用対象を拡充するなど制度改正が進んでいる。

除却の必要性に係る認定対象の拡充
出典:国交省HPより参照

また、実現には至っていないものの、建替え決議の5分の4要件の緩和や、区分所有関係の解消を全員合意でなくても可能とする仕組み、所有者不明の区分所有者を意思決定から除外するなどの検討が現在政府内で進んでいる(令和5年4月現在)。このように、マンション再生の実現に向け、今後も制度改正が進んでいくことが予想される。

03.エスコのマンション再生

03.1 エスコの特徴

エスコが手がけるマンション再生の特徴として、幅広い選択肢が用意されていることである。老朽マンションが抱える問題は千差万別であり、再生手法にもメリット・デメリットがあることはこれまで示した。エスコは、特定の再生手法に拘らず、各マンションの課題に応じて再生手法を変えることに強みを持つ。

また、デベロッパー業務を専門としていないため、保留床処分方式(マンション再生の手法について参照)でなくとも事業協力ができる。例えば自主建替えや敷地売却制度が進まない理由として、事業性が低くデベロッパーなどの事業協力者の参画ができないためであるが、エスコではこのような手法にも対応ができる。

03.2 マンション再生セミナーの紹介

エスコが開催するマンション再生セミナーの講師は、数多くの再生実績を持つジェスコンである。ジェスコンは再生難易度が高いといわれている小規模マンションの再生実績を多数持っているため、小規模物件の具体的な事例やそのノウハウについても情報を得ることができる。

前述の通り、マンション再生を取り巻く環境は日々変化している。このセミナーでは最新のマンション再生事例以外に最新の制度紹介や変更点、合意形成の方法なども紹介している。また、セミナーは無料で参加できるため、検討が初期段階の検討委員会や有志の個人の参加も受け付けているため、少しでも興味がある方は参加をお勧めしたい。特に過去、マンション再生を検討したが、実現できなかったマンションにおいても現在の制度の中で今一度検討・相談をされることをお勧めしたい。

無料個別セミナーを開催中
ご相談やセミナーお申込みはコチラ!!

お問合わせはお電話かメールにて承ります。
お気軽にご連絡ください。

0120-60-9444

10:00~12:00、13:00~17:00

※土日祝を除く

【フリーコール受付休止日について】