2024.11.27
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2024.08.26
工場の省エネ対策はエネルギーコストの削減だけでなく、環境負荷の低減、そして企業の競争力向上にも大きく寄与します。
本記事では、省エネ対策15選を具体的に紹介し、その導入方法とポイントを詳しく解説します。エネルギー管理システムの導入から自然光の活用、従業員の意識向上まで、多岐にわたる対策を網羅し、わかりやすく説明していますので、工場の運営者やエネルギーマネジメント担当者が実践的かつ効果的に省エネへの取り組みを進めるためのガイドとしてぜひご活用ください。本記事を参考に、持続可能な工場運営を実現しましょう。
製造業の省エネ対策が重要な理由として、まず挙げられるのは、エネルギーコストの削減です。ウクライナ問題からエネルギーコストは高騰している状況が続いています。
エネルギー市場価格の推移
出典:資源エネルギー庁 (S&P Global Platts等を基に経済産業省作成)
製造業において、エネルギーコストの高騰は死活問題です。効率化を図り、対策をおこなう必要があります。
コスト削減以外にも、
・CO2削減
・法令の遵守
・企業信頼性アップ
などの目的も挙げられます。
では、それらのために工場の省エネをおこなったときに得られるメリットは何があるでしょうか。
工場の省エネ対策によるメリットは多岐にわたります。
第一に、ランニングコストの削減です。
例えば、初期費用はかかっても、省エネ対応の新設備を導入することで長期的にはコストダウンが期待できます。また、助成金や補助金を活用することで初期費用の低減も可能です。
第二に、設備の寿命が延びることです。
定期的なメンテナンスや使っていない設備のスイッチをオフにするなどの基本的な行動は、設備への負担を軽減し、結果として長寿化を実現します。
さらに、省エネ対策は企業のイメージアップにもつながり、CSR(企業の社会的責任)の観点から企業価値が高まります。これにより、営業活動や資金調達などの面でもプラスの効果を得ることができます。
最近では、世界中でCO2削減への対策が活発化しており、製造業においても要請されるようになってきています。省エネ対策は手間はかかりますが、コスト削減のみならず、実践することで企業に対する信頼性もアップするというメリットもあるでしょう。
電力消費の内訳を見てみると、その電力の83%が生産設備によって使われていることがわかります。生産設備とは、コンプレッサーやボイラー、ポンプや冷蔵庫・冷凍庫、焼却炉・溶解炉などを指します。
つまり、生産設備の省エネ対策は不可避であることが分かります。
製造業 電力消費の内訳
また、製造業におけるエネルギーコストは、電力、ガス、化石燃料、蒸気など、多岐にわたります。
資源エネルギー庁の統計によると、エネルギー消費の順位は電力(49.8%)、蒸気・熱(21.5%)、石油・石炭(15.9%)、ガス(11.5%)、再生エネルギー(1.2%)の順になっています。
参考:資源エネルギー庁
では、もっとも割合の大きい電力の料金推移を見てみましょう。
電力は製造業における最も主要なエネルギー源であり、その価格推移は経営に大きな影響を及ぼします。
下図は、家庭用(低圧)の電気料金月別単価の推移ですが、高圧でも同じような動きを見せています。
家庭用電気料金月別単価の推移(青:規制料金/オレンジ:自由料金)
この高騰の主因は、冒頭に述べたように、ウクライナ問題に端を発した燃料価格の上昇であり、日本の電力の約76%が火力発電によって作られているため、日本国内の電力料金も影響を受けています。これらの課題に対処するためには、エネルギー消費の効率化と再生可能エネルギーの活用が必要不可欠です。
出典:資源エネルギー庁 2024年3月 統計表一覧 発電実績より作成
工場における省エネ対策の基本的な考え方は、エネルギー効率を最大化しながら、CO2排出量を削減することにあります。 現代の製造業は、燃料価格の高騰とともに、環境負荷の低減も求められています。特にCO2削減は気候変動問題に対する対策として、国際社会や政府からも強く求められている課題です。温室効果ガスの削減は地球温暖化の抑制に直結し、長期的な視野での持続可能な工場運営を実現するためにも不可欠になるでしょう。
以下では、具体的な省エネ対策のポイントを紹介します。
温室効果ガスを削減して持続可能な社会を作るために必要なこととは
工場の省エネ対策には多くのアイデアや方法があり、それらを効果的に組み合わせることで、エネルギー消費の削減とコスト削減を実現することができます。
以下に、具体的な15の省エネ対策を紹介し、それぞれの対策がどのように機能し、どのように導入できるかについて詳しく解説します。
まず、工場の省エネとして思いつくのはLED照明の導入ではないでしょうか。 照明は、空調設備に次ぎ、最もエネルギーを消費する設備です。既存の照明機器から、LED照明に変更することで、業態により異なりますが、50%~80%を超える大幅な削減が可能です。
また、LED照明に変更することで、同時にCO2排出量も削減可能であるため、省エネ設備投資の補助金対象にもなりやすいのもポイントです。
工場へのLED照明導入によってどのくらい変化があったのかの試算事例をご紹介します。
試算条件は以下の通りです。
点灯時間:16時間/日
営業日数:365日/年
電気料金単価:15円/kWh
料金契約変更後の単価:13.5円/kWh
シミュレーションの結果、1時間あたりの消費電力は48.1kWから13.0kWに抑えられることが分かりました。
料金適正化により、年間の電気料金は、4,213,560円から3,188,640円減額の1,024,920円(削減率75%)となります。
LED照明ご導入費用
照明器具費用 6,675,000円
工事費用 2,500,000円
投資額 9,175,000円
総投資額9,175,000円に対し、投資回収は約3年で完了し、5年後の電気代削減額は6,198,800円が見込めます。
詳しくはLED導入のコスト削減例の記事をご覧ください。
工場において、もっともエネルギー量が多い設備は、空調設備機器です。空調設備の最適化は、工場全体の省エネ対策において非常に重要です。
まず、簡単にできる対策は、商品に影響が出ない範囲で設定温度を上げることです。1度の調整で、約10%の省エネ効果が見込まれます。
ほかにも、さまざまな対策が可能です。
ポイントは大きく3点あります。
1 省エネ性能の高い空調設備に切り替える
2 空調設備自体の清掃・環境の見直しで効果を高める
3 運転時間を調整して効率的に運転する
エアコンなどの空調設備の省エネ性能は非常に向上しています。
エアコンを変えるだけで、消費電力もCO2も大幅に削減します。
家庭用の空調機器のデータではありますが、環境省では、10年前の空調と比較すると約12%も消費電力量が省エネになっていると発表しています。
参考:環境省(2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?)
業務用の空調設備機器の更新は、40%~60%程度エネルギー削減が見込めると言われています。メーカーによって省エネ性能は変わりますので、複数の空調設備機器を調べてみましょう。
省エネ性能の高い空調機の導入で利用できる補助金もあります。
導入機器や組み合わせによっては補助金対象外となってしまいますので、空調機器選定の段階から、補助金を意識した計画をお勧めします。
補助金のご相談も承っておりますので、お気軽にお申し付けください。
しかし、すぐに空調の交換は難しい場合もあるでしょう。そこで、今からでもできる省エネ方法をご紹介いたします。
空調設備自体を清掃することで、効率よく空調設備を使うことができます。
特にフィルターはこまめに(2週間に1回程度)清掃しましょう。
家庭用エアコンのデータにはなりますが、冷房効果を高めるためにフィルターを清掃することで約5~10%もエネルギーを削減することができます。
参考:環境省(おうち快適化チャレンジ)
また、熱交換器(フィン)の清掃も効果的です。熱交換器とは、室外機・室内機の両方に入っており、温まった室内の空気を冷やして、室外に出す役割の機器です。
この熱交換器の清掃をおこなうことでエネルギー削減につながると言われています。
室外機の設置場所の見直しも効果的です。
夏は室外機の温度を上げないようにすること、
逆に冬は冷えすぎないようにすることが効果的です。
また、室外機の吹き出し口付近に障害物をおかないことも重要です。室外機は、屋内の熱を放出しています。吹き出し口付近に障害物があると、せっかく放出した熱を再び吸い込んでしまい、冷却効果が下がってしまうのです。
運転時間を工夫することで、省エネ効果につながります。
例えば、始業時に空調を一気に起動するのではなく、分散して起動させる方法があります。
エアコンは、起動時の消費電力が大きくなるので、一気に起動させないことで、ピーク電力を抑える狙いがあります。
終業の少し前に空調を停止させることもひとつの方法です。終業時刻少し前に空調を停止しても冷えた空気・温まった空気の「残熱」は残っており、15~30分程度なら、温度環境を維持することが可能です。
最後に、夜間の外気を取り込むことで室内を冷やしておく手法です。
これは夏に有効な手段で「ナイトパージ」と呼ばれています。ナイトパージをおこなうことで、朝の始業時には室温の上昇を抑えることができ、空調起動時の負担を軽減することができます。
ナイトパージは、そういった機能が付いている空調機器で用いられるのが一般的です。
もし、ナイトパージの機能がない場合は、夜間に換気扇や、空調の換気機能をつけたままにしておくことがおすすめです。
※防犯面から、窓を開けっぱなしにすることはやめましょう
夜間につけておく空調の消費電力と、ナイトパージによる省エネ効果の比較をしたうえで効果がある場合は試してみましょう。
工場の主要な設備である水洗ポンプやスクラバーファンにインバータを導入することで、大幅な省エネが可能です。
モーターを制御するインバータは、回転数を自由に変えることができます。必要最低限のエネルギーで動力を稼働させることができ、ロスを抑えて省エネを実現できます。
工業炉がある業種では、工業炉の効率的な熱利用が大きな課題です。
日本全体で使用されるエネルギー消費量のうち、約18%が工業炉で消費されていると言われています。そこで、工業炉の省エネ化が求められています。
参考:NEDOWM(産業界の省エネルギー/環境負荷低減に大きく貢献する高性能工業炉)
加熱や溶解など高温の工場で炉壁の断熱をおこなうと、炉内の熱を効果的に保持し、エネルギー消費を大幅に削減できます。 当然ながら、工業炉に使用される断熱材は、断熱性と耐火性のどちらも必要になってきます。最近ではセラミックファイバなどが利用されています。
エネルギーのロスがなくなれば、その分CO2の排出も削減されます。省エネを目指す企業にとって、工場炉への断熱材の強化は大きな影響を与えるでしょう。
エネルギー管理システム(Energy Management System)は、「それぞれの設備において、そのエネルギーの使用状況を把握したうえで、さらに最適な利用を実現するための活動あるいはそれを可能にするシステム」を指す言葉です。
用語集 EMSより
エネルギー管理システム(EMS)の導入は、エネルギーの使用状況やCO2の排出量を「見える化」して、効果的な省エネ対策を実現するための重要な手段です。
メリットは、上記で述べた通り、使われているエネルギーが、いつ、どのくらい使われているのかをデータ化して「見える化」すること。それにより、エネルギーの無駄が分かったり、老朽化しているところを特定して改善したり、などの施策をとることができます。
製品によっては、空調や照明などの機器を自動制御してくれるものもあり、省エネを進めていくうえで、指針になる役割をになっています。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?|EMSの仕組みとメリットを総まとめ
効率モーターとは、熱の発生を抑えたエネルギー効率の良いモーターのことです。電力を効率的に動力に変換してくれるので、エネルギー効率が向上し、コストだけではなく二酸化炭素排出量の削減などのメリットがあります。
なぜ通常のモーターの温度が上昇するのかというと、電力を動力に変える際にエネルギーの一部が熱として失われているからなのです。そのため、高効率モーターは温度上昇が小さく、冷却に必要となる設備なども不要になるケースがあるほどです。
ただし、標準と比較するとモーターサイズが大きい傾向があるため、事前にサイズなどを確認した方がよいでしょう。また、回転速度も標準と比べて早いため、インバータなどによる制御をして最適な回転で使用しましょう。
コンプレッサーは、気体を圧縮する装置。その消費電力は、生産に直結する変動エネルギーのひとつであるため、コンプレッサーの効率化は、省エネ対策として非常に重要です。
まず見直すポイントとしては吐出圧力です。圧力を0.1MPa下げられた場合は、一般的には4~5%ほどの電力消費を削減できるといわれています。
次に、吸込空気の温度管理です。吸込空気温度を下げることで省エネ効果があります。
もちろんフィルターのこまめな清掃もおこないましょう。
省エネ法でも、コンプレッサーに関して定められた判断基準(項目:電動力応用設備、電気加熱設備等)があります。
そこでも組み込まれている空気漏れには特に注意しましょう。特に配管をつなぐ部分は空気が漏れやすく、それはそのままロスにつながります。
弊社でも省エネ法のコンサルティングをおこなっておりますので、お気軽にお問合せください。
リジェネレイティブバーナーは、2個のバーナーを1セットとして、燃焼と廃棄を短期間に交互に切り替えて使用するものです。
1つのバーナーが燃焼中は、もう一方のバーナーは燃焼排ガスを排出し、蓄熱体の温度を上昇させ、反対にそのバーナーが燃焼するときは高温の蓄熱体を通すことで、燃焼用の新鮮な空気を予熱する仕組みです。2個のバーナーを交互に燃焼させることから「交番燃焼」と呼ばれています。
出典:NEDOWM(産業界の省エネルギー/環境負荷低減に大きく貢献する高性能工業炉)
一般的な(1,200℃レベル)加熱炉の場合と比べると、約50~70%ほどの燃料を節約することができます。
しかし火炎温度が高くなると、環境汚染物質の一種であるNOx(窒素酸化物)が発生してしまう、という懸念点からあまり普及しませんでした。ところが、1,000℃以上の空気に燃料を高速で噴射することでNOxの発生が抑えられることが分かりました。
現在では、この高温空気燃焼は、「新燃焼域」に分類されています。
出典:NEDOWM(産業界の省エネルギー/環境負荷低減に大きく貢献する高性能工業炉)
太陽光発電システムの設置は、電力コストの削減とCO2排出量の削減を同時に実現できる有効な省エネ対策です。
工場の屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電力を自家消費することで、電力料金の削減が可能です。
初期費用はかかるものの、PPAモデル(初期導入費用がかからないモデル)を利用すれば、コストを抑えつつ導入が可能です。
太陽光発電は長期的に見て非常に持続可能なエネルギー源であり、企業の環境への取り組みをアピールするためにも有効です。
エスコは、省エネ設備更新工事の実績と豊富なキュービクル保安点検の経験から、全国で500ヶ所以上の太陽光発電システムの工事、保安点検・メンテナンスに関わってきました。豊富な太陽光発電に関わる専門性とノウハウを駆使してお客様の発電システムの設計・施工からO&M(運用・保守)までトータルでサポートいたします。
省エネを実現するときに基本でありながら重要なことは、設備の定期的なメンテナンスです。
特にキュービクル(高圧受電設備)の保安点検は、電気事故を未然に防ぐために欠かせません。
キュービクルの点検は毎月、もしくは隔月の点検と年次点検の2つが法令で定められています。
キュービクルの保安点検を怠った場合、キュービクルの不良状態に気づかずに思わぬ電気事故が発生してしまう可能性があります。例えば、キュービクルは高圧電気を扱う設備のため、劣化による漏電が起きてしまった場合、感電や施設の火災の発生が懸念されます。また、キュービクルの故障により停電が発生してしまうと、波及事故につながる恐れがあります。こうした電気事故を防ぐべく、設置者はキュービクルを良好状態で維持するために、計画的な保安点検をおこなうことが大切です。
キュービクルの保安点検をおこなう必要性についてまとめた記事がありますので、どうぞご参考ください。
キュービクルの保安点検をおこなう必要とは?法律による義務化と点検内容と費用について解説
キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?導入のメリット、導入時に必要な手続きや保守点検について徹底解説!
工場での省エネを成功させるために忘れてはいけないのが、従業員の省エネ意識向上です。省エネ活動の成果を可視化し、従業員と共有することで、モチベーションを高め、持続的な省エネ活動を促進することができます。全員が省エネ意識を共有することで、より大きな効果が得られます。
省エネ意識向上の第一歩として、簡単に実行できる取り組みからスタートすることが重要です。
たとえば、昼休みや終業時に照明や電気機器の電源をオフにする、空調の設定温度を適正化するなど、誰でもすぐに実践できる行動が有効です。
省エネ活動が身近なものとして認識され、従業員全体の意識が高まります。また、小さな成功体験を積み重ねることで、さらなる省エネ施策への協力意欲が増すでしょう。
省エネ活動を推進する上で重要なのは、その成果を従業員全体で共有することです。
具体的には、社内の掲示板やメール、ミーティングを活用して省エネ活動の情報を共有し、全員が一体となって取り組める環境をつくることから始めてみてはいかがでしょうか。
その際、目標を設定し、達成状況を共有することで、社内の共同意識を高めましょう。省エネ活動の進捗状況や達成度を定期的に報告し、目に見える形で示すことが省エネ意識を向上させるのに効果的です。
社員のコミュニケーションを活発化し、全員が一体となって取り組むことで、大きな成果を生み出すことができます。
エネルギー消費を削減できる効果的な省エネ対策として、自然光を活用するのは一つのアイデアです。
特にライトシェルフの導入は、自然光を効率的に利用しながら直射日光を遮蔽することで、室内環境を快適に保ちつつ照明の使用を削減します。
夏季には太陽光を反射し、冬季には低い角度からの光を室内に取り込むことで、一年中効果的に自然光を活用できます。
ライトシェルフは簡単に設置でき、初期投資も比較的低いため、多くの施設で導入が進んでいる方法です。
契約電力が50kW以上の高圧電力の場合、ピークカットの実施は、電力料金の削減につながる効果的な方法です。
高圧電力のメーターは30分ごとの電力の平均値を測定しており、この平均値をデマンド値(ピーク時電力)といいます。高圧の契約電力は1年間の内で最大のデマンド値が契約電力となります。
デマンド値が上がると基本料金が比例して上がるため、電気料金削減のためには、このデマンド値を監視して抑制することが電気料金の削減につながるのです。
デマンドを監視するデマンド監視装置、デマンドコントローラーを導入することで、電気を「見える化」し、非効率な電力使用が発見できるとともに、ムダが見えるため即効性のある取り組みが可能になり、従業員の省エネ意識の向上も期待できます。
省エネと生産効率を両立させるには、生産スケジュールを最適化させる必要があります。
例えば、エネルギー消費が多い工程を電力料金が安い時間帯に稼働することで、コストを抑えることが可能です。また、生産ラインの停止・稼働スケジュールを細かく管理し、無駄なエネルギー消費を避けることで、トータルでのエネルギー使用量を削減できます。
前述のEMS(エネルギーマネジメントシステム)などを活用することで、エネルギーのムダを削減し、ピーク時の電力使用を抑えましょう。
弊社では、どこにエネルギーのムダが発生して、効率的に削減できるかを診断する省エネ診断のサービスもございます。 2万5千社を超えるお客様の省エネ・コスト削減対策支援の実績があり、環境省からも省エネ診断の専門機関に認定されております。
省エネの専門性とノウハウを活かして、お客様の設備や施設全体のエネルギー使用情報を詳細に調査・分析します。中立の立場で、様々なソリューションをご提案できますので、お気軽にお問い合わせください。
グリーン電力とは、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱など自然環境にある資源から創り出す再生可能エネルギーを用いて発電された電力のことです。 用語集 グリーン電力
グリーン電力を活用することで、CO2排出量を削減し、環境負荷を軽減することができます。
また、グリーン電力証書を購入するということも手段の一つです。
グリーン電力証書を購入すると、自社が使用する電力の一部または全部をグリーン電力を利用しているとみなすことができます。これにより、企業の社会的責任(CSR)を果たしながら、ブランド価値を高めることができます。
15のアイデアを整理いたしましたが、必要なことはムダを見つけ、実践していくことです。
特に老朽化した工場設備を省エネ設備に更新していくことは効果的です。例えば、耐用年数が経過している設備や、チラーやヒートポンプなどの熱源機を高効率のものに変えるなどが良いでしょう。
ただし、現状の把握は難しいのが現状ではないでしょうか。そこで役立つのは、最新技術の活用です。
例えば、IoT(モノのインターネット)技術を利用して、機器の状態やエネルギー使用状況をリアルタイムでモニタリングすること。
異常状態の早期発見やエネルギーの無駄を即座に把握し、迅速な対策が可能になるなど、最新技術を最大限に活用することが省エネへの近道です。
最近では、AI(人工知能)を導入する工場も増えてきています。機器の負荷に応じて適切な稼働時間やエネルギー使用量を調整するなど、運転状況や生産データを分析し、エネルギー効率を自動的に最適化する施策も実現可能です。
さらに、ブロックチェーン技術を活用してエネルギー消費データを透明化し、信頼性の高いエネルギー管理を実現するという方法もあります。
省エネ目標の達成度を正確に計測し、データ改ざんの防止も期待できます。デジタルツイン技術を用いて、工場全体のシミュレーションをおこない、省エネ施策の効果を事前に検証することができるため、投資リスクを低減することができます。
最新技術を導入することで、従来の省エネ対策よりも高度なエネルギー管理が実現します。その結果、エネルギー消費の最適化と効率化が進み、コスト削減と環境負荷の低減が期待できます。工場の競争力を高めるためにも、これら最新技術を積極的に採用してみましょう。
省エネ対策の成功には、段階的なアプローチが必要です。以下に、工場における省エネ対策の導入手順を具体的に説明します。
最初におこなうべきは、現状分析です。
工場全体のエネルギー消費パターンを正確に把握し、どの設備や工程が最もエネルギーを消費しているかを把握しましょう。
エネルギー管理システム(EMS)などを活用して、データを可視化し、具体的な数値データを基に分析をおこないます。
その後、達成したい目標を明確に設定します。この目標設定には、具体的な数値目標(例:年間5%のエネルギー消費削減など)を設けることが重要ですが、最初から高すぎる目標は避けましょう。実現可能な、具体的な目標を設定することで、全社員が共通の認識を持ち、一丸となって省エネ活動に取り組むことができます。
現状分析と目標設定が完了した後は、具体的な対策の選定とその優先順位付けをおこないます。省エネ対策には多様な方法が存在しますが、全てを一度に実施することは現実的ではありません。
そこで、コスト効果や導入の難易度、効果の大きさなどを総合的に評価し、最も優先すべき対策を決定します。例えば、LED照明への交換や高効率モーターの導入など、比較的インパクトの大きなものから始めると良いでしょう。これにより、短期間で成果を上げることができ、さらなる省エネ施策へのモチベーションとなります。
次に、選定した対策に基づき、具体的な導入計画を策定します。導入計画には、目標達成のためのスケジュール、リソースの配分、必要な設備や技術の導入手順などを詳細に設定します。また、関係者の役割分担や連携体制を明確にし、計画の進捗を管理するための指標を設定しましょう。
導入計画を立案する際には、実現可能性を考慮しつつ、長期的な視点でコストと効果を評価することが重要です。計画立案後は、全社員に周知し、一丸となって実施に移行できるよう準備を整えます。
最後に、策定された計画に基づいて実施し、継続的にモニタリングをおこないます。設備の導入や運用改善が計画通りに進行しているか、エネルギー消費の削減効果が出ているかを定期的に確認します。エネルギー管理システム(EMS)などで、リアルタイムのデータを基に効果測定をおこない、必要に応じて計画の見直しや追加対策を講じます。
定期的なレビューや報告を実施し、全社員で成果を共有することで、持続的な省エネ活動を推進します。モニタリングを通じて得られたデータは、次の省エネ対策の参考にもなり、継続的な改善へとつながります。
工場で省エネ対策を実施する際、補助金や助成金制度を活用することで初期投資の負担を軽減し、経済的なリスクを低減することができます。これらの制度は国や地方自治体、さまざまな機関によって提供されており、多岐にわたる省エネ施策に対応しています。
弊社では補助金の活用についてのご相談を承っております。
お客様のご状況に合わせた最適なプランをご提案可能です。省エネ設備投資額を1/3~1/2と大幅に削減し、豊富な経験から補助金採択率は90%を超えております。
国際社会や国家の取り組みとして、2050年にカーボンニュートラルを目指している中で、ますますCO2排出量への取り組みが強化されてきております。
最近、特に指摘されているのが「サプライチェーン排出量」の削減です。
従来の製品を対象とした評価(原料調達・製造・物流・販売・廃棄まで含めた「製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)」)だけではなく、サプライチェーン排出量は、組織のサプライチェーン上の活動に伴う排出量も算定対象としています。つまり、自社のCO2排出だけではなく、自社商品が販売されたあとも含めたサプライチェーン全体での排出量が対象となります。
現在、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブとして、「RE100」が注目されています。環境省がアンバサダーとして参画し、世界や日本の多くの企業が参加しています。
参考:環境省 RE100の取組
グローバル企業を中心にCO2削減への取り組みが活発化し、サプライチェーン全体でCO2削減達成を目指すため、取引先へもCO2削減を求められるようになりました。
例えば、トヨタやユニリーバ・アップル・マイクロソフト・ダノンなどはサプライチェーンも含めたCO2排出量の削減に対して言及し、実行を始めています。
省エネ対策の初期投資額は、選定する対策の種類や規模によって大きく異なります。数万から数十万円の範囲で実施可能なものもあれば、一方で、太陽光発電システムや高効率モーターの導入など、大規模な設備更新を伴うものは数百万から数千万円の初期投資が必要となる場合もあります。
しかし、省エネ対策には補助金や助成金制度を活用することができ、これにより初期コストを大幅に削減することが可能です。また、長期的な視点で見れば、省エネ対策によるエネルギーコストの削減効果が初期投資を上回ることが多く、投資回収期間も短縮されます。初期投資額だけにとらわれず、全体的なコスト効率を考慮することが重要です。
弊社では、エネルギー管理士資格を持った者が内容確認・分析をおこない、エネルギー削減の余地がどれぐらいあるかを試算する省エネ診断を承っております。
現状のCO2排出状況やエネルギーごとの細かい数値分析をおこなった上で、どのような対策をすればいいのか、それによるコスト削減金額、投資回収期間まで、5ページ以上のレポートで分かりやすくまとめております。
ぜひお気軽にご連絡くださいませ。
省エネ対策の効果が現れるまでの時間は、導入する対策の種類と規模によります。
例えば、照明のLED化やインバーター制御の導入などは、比較的短期間で効果が実感できる対策です。これらの対策では、数週間から数ヶ月程度でエネルギー消費の削減効果が確認できることが多いです。
一方で、大規模な設備更新や自家発電システムの導入など、初期導入に時間を要する対策では、効果が実感できるまでに半年から数年程度かかる場合があります。導入後も継続的なモニタリングと最適化をおこなうことで、徐々に効果が顕在化します。
また、省エネ効果を最大限に引き出すためには、従業員の意識向上や運用の改善など、継続的な取り組みも欠かせません。
小規模工場でも、十分な効果を発揮する省エネ対策は多数存在します。まず、最も簡単に始められるのが照明のLED化です。照明は、エネルギーの消費量が多いため、即効的に削減が実感できます。また、人感センサーを導入し、必要な時だけ照明を使用するようにすることでさらなる省エネが可能です。
また、空調設備の最適化も効果的です。フィルターの定期清掃や室外機の配置見直しなど、運用方法の改善によりエネルギー効率を高めることができます。さらに、インバーター制御の導入や、高効率モーターへの更新なども検討すると良いでしょう。これらの対策は、小規模工場でも実施しやすいためおすすめです。
最後に、エネルギー管理システム(EMS)を導入してエネルギー使用状況を「見える化」することで、無駄なエネルギー消費を特定し、効率的な対策を講じることができます。
本記事でご紹介した対策が、エネルギー消費の削減とともに、運用効率の向上にお役立ていただければ幸いです。
省エネへの投資を実行する際は、補助金・助成金制度を積極的に利用し、初期投資の負担を軽減しましょう。
また、従業員全体が一丸となって省エネ活動に取り組むことが、省エネ実現への大きな鍵となります。省エネ活動を通じて得られた成果は、企業のブランド価値を高める要因となり、さらには顧客や取引先からの信頼を得ることにも繋がります。
最終的に、省エネ対策を効果的に実施することで、工場の運営コストを削減し、環境負荷を減らし、企業の競争力を高めることができるのです。工場の省エネ対策は、単なるコスト削減手段ではなく、企業の競争力を大幅に向上させるための戦略的な投資です。この投資は、持続可能な事業運営を実現し、企業の成長を支える基盤となるでしょう。
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